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淡雪ふわり【風強・ユキ】

第7章 夏の風 ―ユキside―



「……」

「……」


見られた…よな…。


舞は真っ赤な顔をして両手で口を塞いでいる。

「明日王子くんの顔見られないかも…」

「まあ…誰かに言ったりする奴じゃないし」

「そうだけど…」

「つーか、父ちゃんじゃなくてよかったな…」

「ほんと…」

こんな、いつ誰が現れるかわからない場所でキスを迫ったのは迂闊だった。


「…ごめん、舞」

舞の気持ちを考えて謝ると、口元に当てた両手を今度は胸元まで下ろし、キュッと握る。


「ううん…。嬉しかったから…」


……おいおい。可愛過ぎねーか?
ビックリするわ。

ああ、離れたくない。
もっと一緒にいたい。
なんて心では思うけれど、現実問題そろそろ寝なければ明日に響く。
ここに遊びに来たわけじゃないんだからな。
舞たちに支えてもらっているからには、今できることを精一杯やんねーと。

「寝るか」

「うん」

リビングの電気を消し、俺は大部屋へ。
舞は、ハナちゃんと二人で使っている個室へ向かう。


「じゃあな」


「おやすみなさい」


柔らかく微笑む舞を見つめながら、最後に一度だけ、小さな手をキュッと握る。


おやすみ、舞。
また明日。


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