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淡雪ふわり【風強・ユキ】

第6章 願い叶えて



「……!」

「ハイジもここまではしただろ?」

「そん…な、あれは…」

「……わりぃ。しつこいな俺も。ただのヤキモチ」

すぐそばにユキくんの顔。
ほんの少し距離が近づいたら、触れてしまいそう。

ユキくんの親指が私の唇を撫でた。

どうしたらいいんだろう…。
小さく開いたままでいいのか。
それとも、恥ずかしさを訴えるようにキュッと引き結んでしまっていいものか。
何にしても、こんなの絶対、女の子の扱いを知ってる人のすることだ。

「ユキくん…」

「チャラい、は言うなよ?舞に関してはチャラくねーんだから」

「違う。私も、ヤキモチ」

「……」

「そんな余裕見せられるくらい、女の子の扱いに慣れてるってことでしょ?私はこんなにもドキドキし…て…」

頭をグッと抱えられ、私の耳がユキくんの胸に推し当てられた。


ドッドッドッドッ…


大きな拍動。
もしかしたら、私のものより早いんじゃないかと思うくらい。


「どこに余裕があんだよ…」


顔を上げてユキくんを見てみると、照れくさそうに唇を尖らせている。


本当に?
私を想って、ドキドキしてくれてるの…?


「好き…」


私から瞼を閉じた。

ユキくんの柔らかい唇が、静かに一度、私のものと重なる。
ほんの少しだけ隙間を作り、今度は二度、三度とゆっくり啄むように。
徐々に強い力で抱き締められ、片手が私の頭に触れる。
優しく髪を滑り落ちてゆく指先に、吐息混じりに私の名前を呼ぶ声。
全部、全部、愛おしい。


「舞…」


少し開いた唇から舌が差し込まれた。
格段に熱く艷やかになっていくキスに、背筋をゾクゾクとしたものが駆け上がり、体から一気に力が奪われていく。
リードしてくれるユキくんに、されるがまま。
正直私はこういうことにあまり慣れてはいなくて、応えるだけで精一杯。
掬われて、絡まって、深く浅くと繰り返して。
ユキくんのキスは刺激的だけれど、決して独りよがりなんかじゃない。
私への思いやりが伝わってくる。
唇から、瞳から、体に触れる指先から。


「舞。好きだよ」


「わたしも。好き…」


緊張が解されていく代わりに訪れたのは、幸福感と悦楽の波。
ここが屋外だということも頭から抜け落ちるくらい、キスに溺れてしまう。


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