第2章 愛のオムライス
「は?別に…普通だろ?…な?」
「うん…。だと思うけど」
人からそんな風に言われると何だか気恥ずかしくて。
ユキくんに合わせて曖昧に相槌を打った。
「じゃあ…いただきます」
「どうぞ」
早速抹茶のクッキーを摘み上げたユキくんは、パクリとそれを口の中へ。
「お」
一瞬動きを止めたあとゴクンと飲み込み、私と目を合わせる。
「めちゃウマ!」
「ほんと?」
「抹茶の苦味が丁度いい感じ。美味いよ、マジで」
「良かったぁ。ちょっとドキドキした 」
一枚食べ終わったあとも次々手を伸ばしてくれるユキくんを見て、ホッとする。
「つかクッキーと緑茶?紅茶とかねぇの?」
「そんなものあったって誰も飲まないだろ?」
「俺が飲むし。結構好きなんだよ、紅茶」
「そうだったのか。じゃあ、次買い物行く時に買ってくる」
ハイジくんはメモ帳とボールペンを取り出した。
買い物のメモかな?本当にマメだな。
「あ、なあ舞。紅茶のクッキーってあるじゃん?あれ作れる?」
「作れるよ」
「なら、リクエスト。今度は紅茶クッキー食いたい」
「うん。美味しいの作るね」
嬉しいな。また食べたいって、思ってくれたことが。
次こそは可愛いラッピングでプレゼントしよう。
その後は、三人で色んなことをおしゃべりした。
練習のことや、アオタケのみんなのこと。
実はここの大家さんが、寛政大陸上部の監督を勤めているのだということ。
某先輩からのニコチン被害の愚痴から、アオタケの中で唯一の彼女持ちが神童くんだという、ほっこりエピソードまで。
あれこれ話しているうちに、お皿の上のクッキーは綺麗になくなってしまった。