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淡雪ふわり【風強・ユキ】

第1章 ふわり、舞う




えっと…黙ってろってこと…かな?
了解です…。


促されるまま席につき、それぞれお酒を頼んで乾杯する。
友達二人が興味津々なのは、ユキくんについて。

「雪彦くん、弁護士になるなんてすごいよねー!」

「裁判沙汰になったら助けてもらおっ!」

「おういいよー、やるやる!」

ユキくんはこういうノリにもきっと慣れてるんだよね。
人付き合いも器用そうだし。
女の子の扱いもわかっていそう……。



「舞ちゃん、だったよね?」

グラスに残ったお酒を飲もうとすると、向かいの席の男の人に名前を呼ばれた。
確か、高田くんって言ってたっけ。

「休みの日とか何してるの?」

「えっと。映画見に行ったり…」

「いいね!俺も映画好きだよ」

「そうなんだ。どんなの見るの?」

「アクションが好きかな。デートだったら恋愛映画も観るよ。良かったら今度二人で何か観に行かない?」

「え?」

どうしよう…困ったな。
さっき知り合ったばかりの人と映画の約束?
しかも、二人でなんて…。


「ナニナニ〜?舞ちゃん映画好きなの?俺も俺も!混ーぜて!」


生ビールのジョッキ片手に誰かが隣に腰掛ける。
この声…

「ユキく…」

愛称の方を口にしかけて、思わずそれを飲み込んだ。

「雪彦!今俺が舞ちゃん誘ってんだから邪魔すんなよ!」

「映画くらいみんなで見に行けばいいだろーが」

「中学生かよ!」

「なあ。あっちの席のなっちゃんて子。高田のことカッコイイって言ってたぞ」

「え、マジ…?」

「マジ。隣座ってあげたら?」

まんざらでもなさそうな高田くん。
なっちゃんのことをチラチラ気にかけながら私やユキくんと話をしていたものの、遂には席を離れて行ってしまった。


「はぁ…」

「舞ちゃん、合コン苦手?」

顔を上げれば視線が交わる。
私を伺うその言い方は、合コン特有のノリではなく、いつもと同じ雰囲気を纏ったユキくん。
この合コンの場に来て初めてホッとする。

「実は…うん。苦手」

「だろうと思った」

「ユキくんは慣れてそう」

「まあ。色々付き合いもあるしさ」

「そっか」

私の隣にいていいのかな。
もしかして、気を遣って声を掛けに来てくれたとか?


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