第11章 プレッシャー
「みんなにお土産買って帰りたいんだけど。どこかにお店あるかな?」
「それなら調べてある。この先の坂道を下ったところに土産物のコテージがあるから、そこに行ってみよう」
「うん」
急遽決まった遠出とあって、アオタケのみんなは今回不参加。
せめてお土産をと思い、食事したその足でハイジくんがリサーチしてくれたお土産屋さんに入った。
「飯のおかずになるようなものは鉄板だよなぁ」
「帰るまでに時間が掛かるから魚は買えませんよね。ふりかけとか…?」
佃煮とふりかけをそれぞれ手に取る、ユキくんと王子くん。
「これなんかどうだ?キーホルダー。アオタケの鍵も付けられるだろ?」
そう言って、ハイジくんは柴犬のキーホルダーを手に取った。
どうやらこの地域のマスコットキャラクターらしく、愛嬌のある表情がニラみたいで可愛い。
「いいんじゃね?知ってるか?キングなんて鍵にパンツのゴム紐付けてんだぜ?ものぐさにも程があんだろ」
「それ…キングさんきっと女性にはバラされたくないのでは?」
「……聞かなかったことにするね」
主にキングくんに使ってもらえることを期待して、柴犬のキーホルダーを人数分購入した。
辺りを散策しつつ、私たちは車に戻る。
「なあハイジ。せっかく海に来たんだからさ。ちょっと遊んで行かね?」
「そう言うと思ってタオルを準備してきた」
「さっすがハイジくん」
「皆さんでどうぞ。僕、海では日焼け止め必須なので止めておきま…」
「日焼け止めならここにあるぞ、王子?」
「えー…」
ハイジくんが用意したバッグからは、タオルや日焼け止め、更には怪我をした時のための消毒薬や絆創膏まで。
本当にどこまでも気が回る人だ。
「わぁっ、気持ちいい!」
足首までひんやりとした海水に浸かる。
波に逆らうように足を蹴り上げたり砂の感触を楽しんだりしていると、辺りにはしゃぎ声が響く。
「ハイジさん!濡れます!」
「大丈夫!替えのジャージも持ってきたから!」
「用意周到だな!」
無邪気に笑うみんなのその姿を、密かに写真に収めた。
青春してる男子三人を微笑ましく見守る私。
ふふふ…なんかマネージャーっぽい。
「おい舞!私マネージャーっぽい、みたいな満足げな顔して見てんな!お前もこっち来てはしゃぐんだよ!」
え?私そんな顔してた…!?