第11章 プレッシャー
カケルくんの恋バナ…気になる!
密かにドキドキしながら彼の返事を待つ。
「はっ!?いないって合宿の時も話したじゃないですか!」
「あれから2週間経ってるからな。どうかと思って」
「2週間で彼女できるわけないでしょ!」
そっか、彼女いないんだ…。
カケルくんモテそうなのに。
というか、カケルくんてもっとクールなタイプかと思っていた。
こんな風に照れたり戸惑ったり、更には赤面している姿はとても新鮮。
「陸上バカのカケルに彼女ができたら奇跡ですよ」
私と並んで歩く王子くんが熱の引かない後輩を煽る。
「いや。彼女どころか、もしかして初恋もまだなんじゃ…?」
ボソッと呟いた王子くんの声によって、一瞬の静寂が訪れた。
顔を見合わせるユキくんとハイジくん。
そして…
「「あり得る…」」
妙に納得した様子で、二人は改めてカケルくんをマジマジと見つめた。
「あり得ません!初恋くらいとっくに…」
「へーえ?いつ?どんな子だよ?」
「……幼稚園の時の…担任の先生…」
「わははははっ!!ベタ~!!」
「いいじゃないですか!ベタでも!そういうユキさんは!?」
「小1。隣の席だった子」
「普通ですね」
「普通で悪いか。王子は?」
「忘れもしない…あれは小学校3年の8月でした。漫画のヒロインです。黒髪のロングヘアーで明るくて優しくて…」
「はい想定内。ハイジは?」
「俺か?」
みんなのやり取りをニコニコ見守っていたハイジくんに注目が集まる。
「俺は、友達のお母さんだ」
「アッ…アウトォーッ!!ダメだこいつ!やっぱ普通じゃねぇ!」
「人妻子持ちですか…?引きました…」
「そりゃ引くだろ!なぁ、舞!?」
「でっ、でも!子どもの頃の話でしょ?」
初恋の人が友達のお母さんって正直あまり聞いたことないけど…。
カケルくんとユキくんは揃ってハイジくんから距離をとる。