第10章 ただ、好きなだけ ※
唇と舌が、左右の尖端を弄ぶ。
湿潤した愛撫が耳に届き、聴覚すら欲に支配された気分になる。
隆起した突起を赤い舌でたっぷり舐め上げたあと、お腹に唇を落としながら徐々に向かう先は…
少し首を持ち上げて黒い髪の毛を追う。
「待っ…、だめ!」
咄嗟にユキくんの頭を両手で掴んだ。
「…何で?」
「恥ずかしいもん…」
「舞の全部、俺のものなんだろ?」
「……えっと…でも、これは…。またいつか、ね…。今日は、パス…」
「だーめー。パスとかねーから」
「ええ…?だって今日が初めてなのにそんなことまで…」
「……」
一瞬黙りこくったユキくんは、上半身を起こして私の顔の位置までやってくる。
「我慢しないでいいって、さっき言った」
「わ、今それ言う…?」
反論しかけた唇に、ゆったりとした丁寧なキスがひとつ落ちてくる。
ジッと私の目を見つめて今度は髪を撫でていく。
何度も、何度も、優しく。
「もっと、気持ちよくなろ?」
「……でも」
「舞の全部、愛したい。だめ?」
「……」
「だめなの?絶対?どうしても?」
……ズルくない?
こんな強請るような、甘い声。
ユキくんは私がノーと言えない物言いを知っているみたい。
「…ほんとに、恥ずかしい…から。少しだけ、ね…」
「了解」
口角を上げた顔を見せたあと、ユキくんの指は蜜を蓄えた箇所に触れた。
「…んっ」
「すげぇ…濡れてる…」
「や… 」
早々に滑り込んだ指が中でうねり始める。
「溢れてくるけど。きもちい?」
「や、あっ、言えなぃ…」
「ふっ、言えねーの?恥ずかしい?」
「ん…」
「じゃあ、俺の都合のいいように取るからな?」
「…っ、ぁっ」
指がぬるりとそこから逃げてゆき、火照った体は取り残され虚無感が襲う。
「エロくて可愛い…ほんっとに。どんどん好きになるよ。舞のこと…」
いつの間にか下腹部まで到達した唇と舌は、その先のトロトロに熟れた場所に吸い付いた。