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淡雪ふわり【風強・ユキ】

第9章 夏の星座 ―ユキside―



夜の湖と、空には満天の星。
人の気配などまるでなくて、俺たち二人きり。
ムードもシチュエーションもばっちり。
ここで服の中に手を突っ込んで下着を外し、舞の素肌を撫で回したところで誰に見られることもない。
この前の王子の時とは違ってな。

だけど―――

欲に任せてこんな野外で舞にこれ以上のことをするっていうのは…


何か、嫌だ。


舞の体には、もっと大事に触れたい。




手のひらを、膨らんだその場所からそっと浮かせる。
ここで思い留まるのが俺なりのケジメ。…なのだが。
心とは裏腹に、体が反応してしまうのもまたオトコの性。
正直キスしてる時からヤバかったのに、胸になんか触ったもんだからムクムク起き上がって…。
マジふざけんなよこの愚息がっ!!
膝の上で舞を抱っこしてる、今の格好。
これ以上元気になっちまったらバレバレだ…!


「悪い、舞。降りてくれる…?」

「どうしたの?」

「脚、痺れてきた…」

「え?ごめんね!」

舞は慌てて俺の膝から降り、隣に座り直した。

「大丈夫?」

「平気… 」

好きな女の胸触って興奮してアッチの準備も始まったっていうのに暴走せずに理性を働かせる俺…。
声を大にして言いたい!
誰か褒めてくれっ!!

ピンクの世界に行きかけた意識を深呼吸とともに引き戻し、改めて舞を横目で見る。

「あー…、今何時?」

「えっと、11時50分」

「あと10分か。さっき誕生日聞いて良かったよ。彼女の誕生日スルーしてたかと思うとゾッとするわ」

「そんな、大袈裟だよ。あ、そうだ!ユキくんの誕生日は?やっぱり冬生まれ?」

「ああ、1月。やっぱり、って?」

「名前に "雪" が付くし、色白だし。冬生まれって感じ」

「色白は関係なくね?」

「あはっ、確かに。そう言えばみんな日焼けしてるのに、ユキくんと王子くんだけ白いままだよね」

「黒くなんねーんだよ。少しくらい焼けてた方が、男らしくて憧れる」

「そういうもの?名前の通り雪みたいに綺麗な肌で、私は好きだけど」


コンプレックスと呼ぶほどのものではないけれど、舞に好きだと言ってもらえただけで、見た目の男らしさなんて大して気にならなくなるから不思議だ。


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