第9章 夏の星座 ―ユキside―
……あるよ。
いやいやいや!別にやりたくてやったわけじゃなくて、その場のノリな!?
合コンの空気を壊さないようにしただけ!
ちなみにキスだって狙ったことないし、したこともない。
だからってバカ正直にそんなこと言えるかっつーの。
「…ねーよ」
「ほんと?私も!やってみようよ!」
良かった、信じてくれた…。
つーか、俺と舞でやんの?
「いいけど。面白いか…?」
「それはやってみなくちゃわからない」
舞は早速ポッキーの片側を咥えた。
俺に向けて差し出されたそれを、黙って口に入れる。
両端から徐々に短くなっていくポッキー。
顔が近づくと、舞は今更恥ずかしそうに肩を竦め、一瞬動きを止める。
何?興味津々だったくせに。
一気に距離を詰め、舞の唇にチュッとキスをした。
「ほら。どっちも避ける気なかったらゲームになんねーだろ?」
「だって…キスして欲しくなっちゃった…」
はいー、舞の直球爆弾出ましたー!
ほんと甘え上手というか、煽り上手というか。
そこに計算なんてないんだろうけど、こういうとこがめちゃくちゃ可愛いんだよな…。
「もう少しこっち来いよ」
「うん」
舞は腰を浮かせて、お互いの脚と脚をピタリとくっつける。
「それじゃあまだ遠い」
お姫様抱っこする時みたいに舞の背中と膝裏に手を添えた。
そのまま抱き上げて…
「わ…っ!」
俺の太ももの上に着地させる。
「や、重くない?」
「全然」
舞のウエストに腕を回しギュッと捕まえる。
最初は困惑したような顔を見せていたものの、舞の手も同じように俺の体に回された。
「あったかいだろ?」
「うん…」
まだキスして欲しそうな顔。
ほんと、わかりやすくて可愛い。
「ちゅー、する?」
「…する 」
「舞からして」
「え?」
「はーやく」
「……」
ちゅっ、と控えめに唇が触れる。
「そんだけ?全然足りねーんだけど」
「ぁ、んんっ…」
唇を啄み、湿った音でその気にさせて、はむっと咥える。
舌で舌を掬って体を擦り合わせ、さっきよりも濃厚な触れ合いを。