第7章 漆
炭「煉獄さんから、さんにも言伝とコレを」
ゴソゴソと懐から彼が出したものは真っ赤な玉飾りが幾つか付いた簪だった。
炎を連想させるような綺麗なガラス製の玉飾り、師範が私にこれを…?
炭「煉獄さんからの言伝は…」
— にも伝えて欲しいことがある、あの子には申し訳ないことをしたと伝えてくれ。継子になってまだそんなに経っていないのに師である俺が先に死んでしまうことを。
そんなこと、覚悟しながら貴方の元にいたのに。
炭治郎の言葉を聞いていたら、また、師範の幻影がみえた。
— これも渡せず終いに終わるのは心許ない。君に似合うと思って選んだんだ、一目惚れだった。この簪も君にも。
一目惚れ…?それは私だってあの時貴方に一目惚れしたんですよ。
あの時貴方が見つけてくれなかったら、私は己の弱さに打ち砕かれて鬼殺隊を辞めていた。
貴方の強さが私を導いてくれた、尊敬していた、師として人としても。
1人の男の人として見ていた、叶わないと思っていたから。
— もっと近くでの成長を見ていたかった。だが、は強い。教える事は全て教えたつもりだ、後は君の努力次第となる。
強く、なれますかね、私。
— なれるさ!は俺の稽古に耐えられたからな。誇りを持て、君は強い子だ。父上と千寿郎の事を頼む。
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ありがとう