第4章 肆
暫くして隠しの者が帰っていき、千寿郎と共に杏寿郎が眠っている部屋に足を向ける。
その途中にある一室の襖の前で足が止まる。そこは杏寿郎と千寿郎の父である愼寿郎の部屋だった。
『………』
どうするべきかは迷っていた。
杏寿郎の訃報は耳に届いているはず、それなのに一向に顔を出そうとしない愼寿郎に声をかけるべきか否か。
千「父上はあまり部屋から出てこないので僕が後から報告します…」
後ろから千寿郎が顔を出し呟く。
確かに自身もあまり愼寿郎と関わりがなかった為に他人に伝えられるより、身内から伝えられた方が幾分かマシかと思い杏寿郎が眠る部屋へと足を進めた。
襖を開けば少しだけみなれた風景が広がる。
杏寿郎らしい部屋だ、ものが整頓されており必要なもの以外置いていない。
その中央で横たわる杏寿郎の近くに腰を下ろした。
『師範、綺麗にしてもらったんですね。』
顔にかかっていた白い布をそっと外せば、血に濡れた頬は綺麗になっており本当にただ眠っているだけにしか見えない。
ただ、杏寿郎が身に纏う死装束と温もりの無い肌が現実そのものを語っていた。
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あけましておめでとうございます
またまた更新遅くなってしまい申し訳ないです
拍手、栞を挟んでくれている皆様本当にありがとうございます🙇
ゆっくりなペースになってしまいますが
完結に向けて頑張りますので
よろしくお願いします🙇