第3章 参
『千寿郎くんありがとう。たまに稽古に付き合ってくれたり美味しいお茶入れてくれて。日輪刀が赤く染まったのは師範と千寿郎くんのおかげだよ。』
千「そんなっ、僕は何も…僕の日輪刀は色が変わりませんでしたから、せめて何かお役に立てればと思ったんです。」
杏「今日は祝いだな!!さつまいもご飯にさつまいもの味噌汁にしよう!!」
千「さんのお祝いなのに兄上の好物ばかりなのですか?」
むぅと少ししょんぼりした杏寿郎の姿を見て、ついクスりと笑ってしまうに千寿郎もつられて笑う。
『師範の好物は私の好物です、千寿郎くん一緒に作ろう』
私がそういえば師範の目がパッと輝く、こういう時だけは年相応の人になるのだろう。
いいな、この時がずっと続けばいいのに。
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『ふ、ふふ…ぐすっ…』
懐かしいことを思い出して思わず笑みが零れる。温かくて優しい思い出。
もうあの笑みを見ることは出来ないけれど、優しい手に触れることは出来ないけれど、あの人が生きていた証を繋いでいこう。
前を、向かなければ。