第43章 未来
「弥生、やってくれるか?」
私に出来るだろうか。
戦を止めるなんてそんなこと。
でもやらなきゃ多くの血が流れる。
(それなら…!)
「私がやります。戦を止めて同盟を結んできます!」
その日の夜。
幸村の部屋。
「弥生、大丈夫か?」
隣には松が眠っていた。
「大丈夫と言いたい、けど…正直手が震えているの。」
さっきからどうしても息が浅い気がする。
「大丈夫だ。」
そう言って幸村が抱きしめてくれた。
「俺が支える。横に立って一緒にやる。俺が守るから大丈夫だ。」
やっぱり幸村の匂いは私の精神安定剤だ。
「うん。ありがとう。私も守るよ。戦で失われる命と幸村と松の未来を守る。」
血を流さないように。
悲しむ人が少しでも減るように。
幸村が危険に立ち向かわなくてすむように。
そして、なにより。
松の生きる世が平和になるように。
そこから私は同盟を結びに安土城に向かった。
幸村も一緒に。
恭華と話して、何とか武田家の領地を返して貰える事になった。
とてつもなく怖かったけれど、これが未来に繋がるんだ。
幸村も故郷の信濃に帰れることになった。
そういう事があり、今は信濃の上田城で暮らしている。