第43章 未来
ある日のこと、大広間に家臣団全員が呼び出された。
「幸村、なんで今日呼び出されたの?」
「ああ、とても重要なことがあるんだ。」
(重要なこと?)
そこに信玄様と謙信様が入ってきた。
「面を上げてくれ。今日は話さなければいけないことがある。謙信、話していいか?」
「ああ、さっさと話せ。」
「分かった。」
話が分かっているのは、信玄様、謙信様、佐助君、そして幸村くらいだろう。
信玄様が口を開いた。
「準備が整った。織田軍との戦を始める。」
ざわざわ…と広間がどよめく。
「いく…さ…?」
「静まれ。話を続ける。」
その後、信玄様達が話を続けていたけど、何ひとつとして頭に入ってこなかった。
今、私が生きている世界が戦国なんだと久しぶりに実感した。
「これにて軍議を終わりにする。解散だ。」
その言葉が聞こえて大広間を出ようとした時、幸村に腕をつかまれた。
「幸村?どうしたの…?」
「ちょっと座ってまってくれ。」
(なんで?)
そうして皆が大広間を出た後、残ったのはいつものメンバーだった。
「弥生、戦を止める方法があるんだ。」
(戦を止める…?)
「どういう方法ですか!?」
「弥生さん、落ち着いて。」
「くだらぬ。俺は聞きたくない。」
そう言って謙信様は大広間を出ていった。
信玄様が話し出す。
「…、戦が迫ってるのは確かだ。だが、織田軍から同盟の申し出があった。」
「同盟の申し出…。」
「正直言おう。俺は信長と同盟など結びたくない。が、昔言った通り俺は時間が無い。一番優先するべきは武田家再構だ。それを最優先に動こうと思っていた。それに無駄な血が流れるのはおかしなことだからね。」