第42章 新しい命
7年後
「ははうえ!このはな、みてください!」
「松!綺麗な花ね。どこから取ってきたの?」
「ちちうえがはなばたけに連れてってくださったのです!」
「そうなのね。父上はどこに行かれたの?」
「おへやにむかわれたとおもいます!」
「そう。教えてくれてありがとうね!」
「はい!では、松は華奈とあそんできます!」
「はい、いってらっしゃい。華奈を無理させてはだめだよ!」
あの日から5年。
時が過ぎるのはあっという間だ。
起点は、4年前の春日山城城下町の夏祭りの日だった。
「うまいか?」
「うん!りんご飴、すごい美味しい!」
「ん、一口くれ。」
「いいよ!」
「うまいな。というか、お前が来てから一年か…。」
(あ、そっか…。)
「そうだね。もうすっかり慣れちゃった。」
「…。行きたい所があるからついてきてくれないか?」
(なんだろ?)
「いいよ?どこいくの?」
「着いてからの楽しみな。」
「ん?うん。」
連れていかれたのは、いつかの物見櫓だった。
「わあ!綺麗!」
「お前、一年前も同じ様なこと言ってたよな。」
「そうだっけ?」
「お前、単純すぎ。」
「はあ?だって本当の事じゃん。」
「そうか。なら良かった。」
たった一年で私は幸村に似てひねくれた気がする。
幸村は逆に大人になったというか、素直になった気がする。
それに気づいて、最近は直そうと思っても、今みたいにひねくれてしまう。
正直、幸村に嫌われてしまわないかで気が気でない。
(はあ、ほんとにかわいくない。)