第41章 恋しいと愛しい
幸村兼私の部屋になった所に戻る。
「弥生、どこ行ってたんだ?」
「信玄様に呼ばれていたの。」
「何、話してたんだ?」
「うん、…。」
(話していいかな?)
「幸村のこと話してたの。」
「俺のこと?」
「うん。」
幸村の前に座る。
「どうした?」
「ねえ、幸村。」
ちゃんと一回話したいと思った。
「だから、どうしたんだよ。」
「私がさ、500年後先の世界から来たのは知ってるよね。」
「ああ、佐助もだよな。」
「うん。その世界はとても平和なの。戦も無い。みんなが自由な職業を選べる世界。」
「そうらしいな。いい時代だな。」
「うん。その世界に私は親がいる。」
「…ああ。」
幸村も真剣に聞いている。
「信玄様は幸村にとって親みたいな人だよね。」
「そうだな。」
「正直に言うとね、帰りたくなったんだ。親に会いたいと思った。」
「…そうか。」
「でもね、でも…、幸村と離れる方が嫌だ。急にだけどそれを伝えておきたくなったの。」
真っ直ぐ見つめる幸村を私も見つめ返す。
「あなたの事を、愛している。だから、私になんでも話して欲しい。私に頼って欲しい。私にもっと甘えて欲しい。」
(まだ幸村の事を全然知らないけど。)
「幸村の事を私に支えさせてください。」