第40章 主として、親として
「幸はいつも領民や、この家臣団を最優先にする。勿論それはいいことなんだが、どうしても自分を疎かにしてしまう。それに、幸は他人にあまり頼ろうとしないからな。そんな時に引き留めてくれる人が必要だ。俺がいなくなったあとほどにね。」
信玄様が話している幸村は私がまだあまり知らない幸村だった。
「それに、私がなればいいんですね。」
「ああ。お願いできるかい?」
「はい、任せてください。」
「なら良かった。話はそれだけだよ。さ、幸も部屋で待ってるだろうから早く戻りなさい。」
「わかりました。それでは信玄様、おやすみなさい。」
「おやすみ。」