第9章 あわあわ
引かれる後ろ姿
俺よりちょっと大きいが、殺しをした事がない
ぴたっ
「あっ、中也さん。あちらに行きませんか?」
指を指した場所は
「深海···」
「海にも色んな海があるんですよ。人魚姫が見てきた海は沢山ありますからね」
「暗いんだろ?(思い出したくない)」
作られた人間····でも
ぐっ
「行こうぜ」
俺は作られた人間だろうが、あの夜に認めてくれた
天音を離さない。
なぁ
人魚姫さんよ。
お前の気持ちは俺と似てる
好いた野郎の幸せを願って泡になった。
でも野郎の気持ちは聞いたのか?声が聞こえずとも。
ーーーー·····
ざざぁ····。
「······」
「どうしました?」
「あっ、あぁ。ごめん··何かを忘れてるような気がしたんだ」
「·····」
「君に助けて貰う前に私は船にいた」