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Dear…【BLEACH】

第11章 A Gray Cat



「いいか! 本日諸君らが行うのは『虚(ホロウ)』の昇華だ! 相手は悪霊、これまでにやってきた『整(プラス)』の魂葬とはわけが違う。各自心してかかるように!」

 現世へと繋がる穿界門まで移動した院生一向を前に、担当教師は声高に説明を続けた。

「実習には四人一組であたってもらう。くじの記号が同じ者同士で班を組むこと!」
「やった、沙羅ちゃん一緒だね!」
「本当だ、よかった。あとのふたりは?」

 雛森とふたりで首を巡らせていると、ぴらぴらと★が描かれた紙をちらつかせながら恋次が話しかけてきた。

「おい。おまえらこの記号か?」
「そうだよ。阿散井くんも?」
「おう、よろしくな」
「……まさか恋次と一緒なんて」
「おい沙羅、どーゆー意味だコラ」
「だって恋次と一緒だと先生に目つけられそうじゃない」
「俺だって目ェつけられたいわけじゃねーんだよ! ついでにあいつも一緒だぜ」

 そう言って恋次が顎でしゃくった先には、斬魄刀をガシャコンガシャコンと出し入れしている吉良が立ち往生している。

「……吉良。なにそわそわしてるの?」
「え! あ、いや、別にっ」
「吉良くんも同じ組なんだ。よろしくね」
「あ、ああっ。よ、よろしく――ゲホゲホゴホッ」

 にこりと笑いかけた雛森を前になにやら盛大にむせている吉良。

「……吉良って分かりやすくていいよね」
「それあいつに直接言ってみ。全力で否定するぜ、きっと」

 ふたりを尻目に沙羅と恋次がボソボソとそんな会話を交わしていたところで、再び担任が太い声を張りあげた。

「各班、メンバーの確認はできたな? それでは班ごとに整列せよ! これより引率者を紹介する!」

 担任の最後の一言にざわついていた院生たちが一斉に静まり返る。
 霊術院で行われる『虚の昇華実習』は、例年護廷十三隊より数名の隊士が派遣されて引率役を務めるのが通例となっており、それがこの実習が院生の注目を集める最たる理由でもあった。自分たちが目標とする護廷隊士と直接触れ合える機会などそうあるものではない。
 そんな期待と羨望から固唾をのんで引率者の登場を待ちわびる院生たちであったが、その姿を目のあたりにした途端、彼らは別の意味で言葉を失うこととなった。
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