第1章 Under the Cherry
「あ、そうそう。今度の任務の話聞いた?」
「ううん。なに?」
食後のお茶をすすりながら見上げると、乱菊はニンマリと笑みを浮かべた。
「ふふ~。実はね、今度の任務はうちの十番隊とあんたんとこの十三番隊との共同任務なのよ。――で、なんと沙羅とあたしは一緒の班!」
「えっそうなの! 乱菊と一緒に組むのなんてずいぶん久しぶりじゃない?」
「そうよぉ。まだあんたが平隊士だった頃に組んだのが最後だったかしらね」
「任務内容は?」
「なんてことないわ。現世での偵察任務。出発は三日後の正午、穿界門の前に集合よ」
「了解!」
穿界門か――
現世に降りるのはいつ以来だろう。
こみあげる懐かしさに沙羅は自然と顔を綻ばせていた。