第6章 Mission
「藍染の話じゃ死神どもは空座町っつーとこに現れるらしいな。……ってオイ。聞いてんのかよ?」
久々の現世任務に上機嫌なグリムジョーは、隣で瞼を閉じて探査神経(ペスキス)を研ぎ澄ましているウルキオラを振り仰ぐ。が、当の本人はそれには答えずじっと辺りの霊圧を探っていた。
今のところ目標の死神らしき霊圧は感じとれない。
情報が誤りであったのならそれでも構わない。そうしてこのままこの場を去れたら――どんなにいいか。
「……空座町はこっちだ」
空座町。その町外れにはあの桜の公園も存在する。
彼女と幾度となくまみえた場所。
重い身体を翻し、グリムジョーとともに響転(ソニード)で跳ぶ。その瞬間だった。
ズオォォォォ――……
「へっ……おいでなすったみてぇだな」
今まさに向かおうとするその方角に、突如として現れた複数の霊圧。愉しそうに口元を歪めたグリムジョーとは対照的に、ウルキオラは全身の血が凍りつくのを感じた。
どうか
どうか彼女であってくれるな
祈りにも似た呟きを胸に、それでも響転の速度は緩めずに霊圧が集うその場所へと進む。
次第に目的地が近づくにつれ、頭の中を言いようのない悪寒が埋めつくす。
だが、もし
もし、向かう先にいるのが彼女だったら?
俺はあいつを
殺すのか…………?
明確な答えを導きだすこともできないままウルキオラはその場所に辿りついた。
開けた視界に飛びこんできたのは、四つの死覇装。なにやら小型の探知機のようなものを地中へ埋めこんでいる最中だった。
「――誰だ!」
即座に振り返った三人の死神の背後で、長い髪が風に揺れた。
どくん、と
鼓動が跳ねあがった。