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Dear…【BLEACH】

第6章 Mission



「――よって今回の任務は、観測地における虚の霊圧濃度の調査、並びに前回データとの変動幅の分析が目的となります。なにか質問のある者は?」

 任務の概要の説明を終え目の前に整列する隊士の顔を見渡した沙羅に向けて、そのうちのひとりが手を挙げた。

「あの……万が一任務中に虚や破面と接触した場合はどうすればいいでしょうか」

 緊張気味の面持ちでそう告げたのは、昨年霊術院を卒業し十三番隊に配属されたばかりの新人隊士の少女。

「今回の任務はあくまで調査データの取得を目的とします。従って、不要な争いは避けるべき。ただしその虚が任務遂行に支障をきたす場合、または現世の魂魄に仇なすと見られる場合には、斬魄刀の解放を許可します」
「は、はいっ! 了解いたしました!」

 ビッと背筋を伸ばして敬礼した少女に、沙羅は目元を和ませた。
 不思議なものだな、と思う。少し前までは自分があの少女の立場だったというのに。

 隊士になって間もない頃、失敗ばかり繰り返してよく海燕に怒られていたのを思いだす。そして、その度に彼がかけてくれた言葉も。
 ポン、と少女の肩に手を置いて沙羅は笑った。

「大丈夫。あなたはひとりじゃないんだから。この十三番隊の全員があなたの味方だよ」

 ――心配すんな、オメーはひとりじゃねえ。ウチの隊士全員がオメーの味方だよ――

 力強い微笑みに、少女はぱぁっと笑顔を浮かべ、頷いた。

 海燕先輩。
 あなたの存在をあまりに誇大視する私に気を遣ってか、みんなは「海燕副隊長のようになる必要はない」と言ってくれるけれど。

 私はあなたのようになりたいんです。

 強く、優しく、誇り高く
 そして誰よりもこの十三番隊を愛して止まなかった、あなたのように。

「調査は四人一組で行います。不測の事態が起きた場合は速やかに伝令神機で連絡すること。――以上、各自現世へおり次第任務開始!」

 ひときわ高い声で沙羅が宣告すると、隊士たちは拳を掲げて穿界門をくぐっていった。そうして最後のひとりまで見送った沙羅もまた、すっと表情を引きしめると現世へと続く穿界門を一歩踏みだした。

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