第5章 Calling You
「それではこれをもって草薙沙羅を十三番隊副隊長に任ずるものとする。尸魂界のため、ひいては魂の安定のため、その身を尽くし隊へ仕えることを願う」
口上とともに十三番隊の隊花である待雪草を模した副官章が沙羅の前に差しだされた。
「――謹んでお受けいたします、浮竹隊長。至らぬ身ではありますが、全身全霊をもって隊へ尽くす所存であります」
深く頭を下げて副官章を受け取ると、目の前の浮竹は穏やかに微笑み、頷いた。その後ろには十三番隊の隊士たちはもちろんのこと、他隊から駆けつけた乱菊らの姿もある。
「おめでと、沙羅! ほら、腕貸して」
「……うん」
副官章を広げる乱菊に緊張でこわばっていた顔を綻ばせ、沙羅は左腕に括られていく副隊長の証を感慨深く見つめる。
重い――
とてつもなく重い。
けれどそれを背負って立てるように強くならなければ。
そう、彼が諭してくれたように。
「はい、できた! これであんたも副隊長の仲間入りね」
ポン、と左肩を叩いて笑う乱菊。彼女にもどれだけ勇気づけられたかわからない。
ありがとう、と笑みを浮かべると今度は待っていましたとばかりに後ろから大歓声があがった。
「やったぁぁ! 沙羅、ついに覚悟を決めてくれたのね! あたしは嬉しい!」
「おいコラ鼻垂れ女、副隊長を馴れ馴れしく呼び捨てにするんじゃねぇ! 沙羅に失礼だろうが!」
「んだとー! てゆーかおまえも言ってんじゃんこのワキクサ!」
「て、てめえ!!」
「ちょっと、やめてよふたりとも――!」