第11章 A Gray Cat
四年後――
「諸君らは霊術院の教育課程を修了し、難関と称して相違ない入隊試験をも突破した有能なる若き新星である。護廷十三隊の一員として誇りを持ち、魂の安寧秩序のためその力のすべてを遺憾なく発揮することを願う。諸君らの働きに期待しておるぞ」
総隊長、山本元柳斎重國の祝いの辞により締めくくられた入隊式のあと、新人隊士たちは各自の配属する隊が貼りだされた掲示板の前でたむろしていた。
「わぁ、あたし五番隊だ!」
「五番隊って藍染隊長の隊? やったね雛森!」
「か、からかわないでよー。沙羅ちゃんは?」
やや頬を赤くした雛森に笑いながら、沙羅は掲示板に視線を戻して自分の名前を探す。
「あ、あった! 十三番隊だって」
「そっかぁ……別々になっちゃったね。心細いな」
「大丈夫だよ、五番隊には恋次と吉良もいるし。それに別々って言っても同じ瀞霊廷の中だし、いつでも会えるよ」
「うん……そうだよね!」
その後各隊ごとに新人歓迎会が催されるとの通達を受け、沙羅は雛森と別れて十三番隊の隊舎へ向かった。そしてその途中、十番隊の隊舎の前を通りがかったとき、聞き覚えのある声が耳に届いた。