第13章 セーラー服を着せないで【乱藤四郎、鯰尾藤四郎他】
「はい、ありがとうございました」
一通り兄弟に制服姿を見せた後、鯰尾は着替え、彩鴇にセーラー服を返した。
「さて俺の制服姿、堪能したでしょう?俺にも堪能させてくださいよ」
「はい?」
にっこりと笑った鯰尾に呆気にとられていると、こちらもニコニコと笑った乱が彩鴇の肩に手を置く。
「主さん、お覚悟だよ?えーい!」
「ちょ、ちょっと待っ、ギャーッ!!」
乱に部屋に押し込まれ、一瞬だった。
服を剥かれ、息つく間もなくセーラー服に着替えさせられていた。
「一体何の罰ゲームなのよっ!!」
もともと彩鴇が着ていた服は乱の手中にある。
得意顔の乱には、もちろん返す気などさらさら無い。
「ほらやっぱり!主さん、とってもかわいい!」
「メッッッチャクチャ恥ずかしいんですけど!?」
制服姿になったのもそうだが、髪型まできれいなおさげ髪にされている。
乱のプロデュースのもと、見事なメガネっ娘委員長の完成である。
「さすが乱、天才……」
鯰尾は乱の仕事ぶりにほうと息を吐いた。
羞恥に頬を染め、スカートを握りしめている彩鴇の姿になんだかグッとくる。
「ハッ!これが萌えってやつですか……?」
「どこでそんな言葉覚えてきたのよーっ!!」
しかも用法が絶妙に合っているのが腹立たしい。
その後、騒ぎを聞きつけたり、乱が触れ回ったおかげで、彩鴇はほぼすべての男士に制服姿を披露することになってしまった。
彩鴇は不本意であったが、男士からは絶賛の声が上がる。
「愛らしいじゃないか!なあ、貞坊!」
「だな!すごくかわいいぜ!乱の監修なんだろ?次は俺にも声かけてくれよな」
「次はないわよ!?」
いいよと返事する乱を遮って反論する彩鴇。
次などあってはたまったものではない。
彩鴇の姿を見た男士からは可愛らしい、素敵だと口々に褒められ、あまりそんな風に褒めそやされた経験のない彩鴇は、面映ゆいやら羞恥やらで頭に血が上りっぱなしだ。
「か、からかわないでよっ!もおおおおっ!!」
耳まで真っ赤な彩鴇の精一杯の叫びも虚しく、男士たちの褒め殺しは続いた。
後日、主の超貴重な制服姿がブロマイドとして売り出されたとかいないとか。