第13章 セーラー服を着せないで【乱藤四郎、鯰尾藤四郎他】
「わぁ、かわいい!」
乱藤四郎がセーラー服を広げて喜んでいる。
このセーラー服、彩鴇の学生時代の制服である。
現世から送られてきた荷物の奥底から出てきて、どう処分したものか悩んでいたら、目敏い乱に見つかってしまった。
「ねぇ、主さん!着て見せてよ!」
「えぇっ!?」
普段パンツを履くことが多い彩鴇の制服姿を想像して乱は目を輝かせている。
「いくらなんでもこの歳で十代の真似なんて無理よ!?」
「大丈夫だよ、主さん素朴な感じですごく若く見えるし、絶対似合うよ。……メガネっ娘委員長みたいな?」
一体どこでそんな言葉を覚えてきたのか、それ以前に童顔と言われたことについて直させるべきか。
「だいたい、服のサイズがもう合わないわよ。い、色々成長してるんだから!」
「ふーん?」
乱は疑いの眼差しで彩鴇を上から下まで見る。
極になっている乱の偵察能力を甘く見てはいけない。
実を言うと、彩鴇は中学校卒業の頃には身長の伸びは止まっていた。
乱が広げているのは高校の頃の制服なので、サイズ的にはまだ着られるのだ。
しかし、彩鴇はそれを頑なに認めたくない。
誰が何と言おうと成長しているのだ、多少は。
「まぁいいや。じゃあボクが着てみてもいい?」
「うーん、ちょっと大きいかな?」
早速乱が制服姿を披露してくれたが、やはりというか、サイズが大きい。
乱はもっと短くしたいのだが、どうしてもスカートが膝下まできてしまう。
「袖もブカブカだよー。かわいくない!……そうだ、鯰尾兄に着てもらお!」
不満そうに頬を膨らませた乱だったが、いいことを思いついた、と隣の部屋に引っ込んでしまう。
「ちょ、なんでそうなるの!?」
乱の思いつきに理解が追いつかず、彩鴇は一拍遅れて驚きの声を上げた。