第8章 本丸にアマビエ殿がやってきた!【髭切、膝丸他】
「……なにこれ?」
食堂の壁に奇妙な絵が飾られていた。
頭髪のような飾り羽根、胴体は鱗に覆われ、鳥のように口が尖っていて、耳の部分は魚のヒレのようだ。
しかも足が3本生えている。
こんな生物、地球上にいるのかと頭をひねっていると、後ろから声をかけられる。
「おはよう……あぁ、それを見てたんだね」
髭切と膝丸がちょうど食堂に来たところだった。
何か知っているらしい。
「この生き物を知ってるの?」
「うん……えっと、甘エビくんと言ったかな」
「兄者、甘エビではなく、アマビエ殿だ」
「これは魚か何かなの?」
「違うぞ、アマビエ殿は妖だ。先日からここに来ているのだ」
「えっ?」
今、何と言った……?
この本丸に、アマビエという妖怪が来ている?
ここには特殊な結界が張られ、時間遡行軍といった外敵が侵入できないようになっている。
にも関わらず、正体不明の妖怪の侵入を許したのか。
アマビエとは、何の妖怪なんだ?
悪さをする妖怪なら、対策が必要になってくる。
「……妖怪退治は専門外なのよ?!」