第7章 万にひとつ【秋田藤四郎、小夜左文字】
「あ、見つけた」
「早いです!小夜は見つかりましたか?」
「まだ……」
その後、彩鴇も混ざって四つ葉を探すことになった。
早速彩鴇がひとつ見つけたところだ。
「コツがあってね。三つ葉は上から見ると大体三角形で、四つ葉は大体四角形でしょう。三角の密集地から四角を見つけるんだよ」
秋田も小夜も顔を見合わせ、首を傾げる。
「全然分からないです……」
「うーん、四角形を見つけるというより、違和感を見つけるって方が近いかな」
夕方になるまであちこちの草むらを探したが、秋田も小夜も結局ひとつも見つけられなかった。
「見つからなかったです……」
意気消沈の秋田に彩鴇が手を差し出す。
「はい、どうぞ。そんな落ち込まないで」
その手の中には四つ葉が2本握られていた。
秋田と小夜の分だ。
「わぁ、ありがとうございます!」
「あり、がとう……」
本来の目的は逆だったはずだが、少し嬉しい。
「あ、ちなみに四つ葉は外傷ストレス以外に遺伝要因もあるみたいだから、四つ葉の株を集めて育てれば、たくさん採れるかも」
今度は根っこごと引き抜いた四つ葉の株を秋田に渡す。
もちろん彩鴇に悪気はない、ないはずなのだが……
「ちょっとしか見つからないから幸運の証なんです!」