第7章 万にひとつ【秋田藤四郎、小夜左文字】
ある日、演練にてー
本日の演練はすべて終了だ。
彩鴇は一足先に本丸に帰っている。
「主さん、手を出して?」
別本丸の乱藤四郎が審神者に声をかけているのが耳に留まる。
審神者はありがとうと喜んで、何かの草を受け取っていた。
それを見ていたのは、秋田藤四郎と小夜左文字。
花ならともかく、渡していたのは草に見えた。
どうしてそこまで喜ぶのだろうと顔を見合わせる。
「何を渡していたのですか?」
「四つ葉のクローバーだよ。幸運の証なんだ」
ここ数日、秋田と小夜が一緒にいるところをよく見るようになった。
「秋田達が気になりますか?」
「うん、最近よく一緒にいるなと思ってね」
近侍の平野藤四郎は、何やら訳知り顔だ。
「幸運の証を探していると聞きました」
「幸運の証?」
「はい、四つ葉のクローバーを見つけると幸運が訪れると言っていましたよ」
なるほど、確かに四つ葉のクローバーにはそんな言い伝えがあるのだったか。
見つけられたらきっと喜ぶだろう。
……いいことを思いついた。