第2章 家出
「姫と佐助は知り合いだったのかい?」
『そうなんです。佐助くんと私は・・・
幼馴染なんです。ねっ佐助君?』
信玄に背を向け手を合わせてお願いした
「はい。久しぶりに会いました」
『これから佐助くんの所に遊びにいくところでした』
「そうか、では俺と一緒に行こう」
スッと葉月の手を取り信玄が歩きだした
『えっ?えっ?』
「アンタは何やってんですか!!?」
横から声が聞こえてきて
スパーンと繋いでいた腕を叩かれた
「おかえり幸」
「"おかえり"じゃあねえですよ!
全く勝手に歩き回らないでくれますかねえ!!」
「迷よわずにここまでこれて良かったな~」
「アンタが迷ったんだろうが!!?」
「喧しいぞ幸村」
「ドンマイ幸村」
「なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ・・・」
『え~と・・・お疲れ様です』
肩を落とす幸村にとりあえず労いの言葉をかけた
「おお。気ぃ使わせて悪りぃな」
「帰るぞ」
くるりと向きを変え謙信は歩き出した
『あっさようなら』
謙信の背中に向かってぺこりと頭を下げると・・・
姫も一緒に帰るんだよ。と
背に軽く手を添えて歩きを促された