第2章 家出
辺りがうっすらと暗闇に染まり走る速度をおとした
後ろを振り向き安堵のため息を吐いた時だった
ヒュンと空気が鳴りキラリとなにかが光った
『キャッ!』
ビックリして立ち止まるのと同時に
後ろに引っ張られ背中に温もりを感じた
「ギリギリセーフだね
大丈夫だった?」
『びっくりした
あと少し遅かったらアウトでしたね』
「うん。遅かったら血まみれだった
間に合って良かった」
『スプラッタは映画だけで十分ですね』
二人でうんうん。と意気投合し話していると・・・・
「・・・・・佐助」
「謙信様、彼女は敵ではありません」
「貴様の知り合いか?」
『まあ、綺麗なオッドアイ・・・』
ジロリと佐助を睨み付ける謙信に葉月は
思わず声を上げた
「・・・何を言っている」
「やあ可愛い姫君無事だったかい?」
「信玄・・・・息を吸うように口説くな斬るぞ」
葉月から信玄へと標的を変え
謙信が信玄へと刀を向けた
その光景を無表情で見ている佐助の着物をクイッと引っ張った
『えっと・・・佐助君?』
「うん。猿飛佐助、謙信様の下で忍びをしている君は?」
『私は、い・・・・葉月と言いますよろしくお願いします。
ところで、猿飛佐助って架空の人物ですよね?』
「ああそうだよ。
戦国時代にタイムスリップしたから
このチャンスに人生を謳歌しようと思ってね
それにおれの名前が佐助だったからね」
『佐助君はこの時代の人じゃないんですね』
「君もおれと同じだろ?」
『私?私はここ戦国時代生まれです』
「えっ?でも君、英語分かってるよね?」
さっきまで何があっても無表情だった佐助が
少し目を見開いて驚いた
『分かりますよ。私前世の記憶持ってますから
転生なんてありえないと思いました
しかも未来ではなく戦国時代の過去になんて・・・』
「なる程転生か・・・
おれも自分がタイムスリップなんてしなかったら
こんな非科学的なこと信じられなかったよ」