第14章 おかえり
顕如は光秀が安土に連れ帰ることになった
光秀を見送った後、家康は負傷者の手当に追われ世話しなく動いていた
昼過ぎに漸く落ち着き部下に後を任せ
信長のいる天幕に入ると政宗と二人で座っていた
「これで顕如との決着がついた
誉めてやる良くやった家康」
「俺はたまたま見かけただけで
掴まえたのは光秀さんです」
「どっちでも良いじゃねえか
俺は久々に手ごたえがあって楽しかったぞ」
「それは良かったですね」
小さなため息を吐きながら信長の前に腰を下ろした
「家康このまま越後に向かうのか?」
「そのつもりです
俺は後方支援が主でしたので疲れてませんし・・・」
「家康に着いていってもう一暴れするのもいいな」
「は?」
「ならば俺も行ってやってもいいぞ家康」
「・・・・・遠慮します」
ふいっと視線をはずし天幕の外に目を向けた
「あれは・・・・」
東の方角から慌てて駆けてくる一頭の馬
「なんでしょうか家康様?」
「俺が知ってるわけないだろ」
ちょうど辺りを見に行っていた三成が帰ってきて家康に声をかけた
「で、伝令っ!!」
馬の背から転がり落ちるようにして
天幕から出てきた家康の前に膝をついた
「なんだ~?まだ残党でも居たのか?」
天幕から顔を出した政宗が聞いた
「東より上杉、武田の軍勢が接近っ!!!」
「ほう、彼方の方から乗り込んできおったか」
信長は天幕から出てくると家康を見てにやりと笑った