第13章 俺のものになれ
ドタドタとかける音が廊下に響き渡り
食事を運んできていた佐助は葉月と顔を見合せた
『なんでしょうか?』
「ちょっと様子を見てくる」
立ち上がり素早く廊下に出ていった佐助は
あれが伝令の兵だと気付き広間に向かった
「失礼いたしますっ!」
「何事だ」
杯を傾けていた謙信がジロリと兵を睨み付ける
「織田軍が動きました!!」
「葉月を捜しをしているのかと思えば戦か?」
同じ広間で朝餉を食べていた信玄が横から口をはさんだ
「姫君を捜しているのは本当の様です」
「状況は?」
「相手は顔に傷のある袈裟を着た男が指揮する集団です」
「・・・顕如か」
謙信は持っていた杯を膳に置き信玄を見た
「謙信そろそろ俺達も動くか?」
「・・・佐助」
「はい。謙信様」
佐助は音もなく謙信の横に現れた
「葉月の様子は」
「本調子ではなさそうですが
回復はしています」
瞳を閉じ暫し考えたのち瞳を開いた
「出るぞ」
「信玄様さっさと準備しますよ」
今まで黙って成り行きを見ていた幸村は
信玄を引っ張って広間を出ていった
「おれも準備に行ってきますが
葉月さんはどうしますか?」
「連れていく」
そう言い佐助と別れて葉月の居る部屋へと歩いて行った