第11章 兄さま
お市が館にいた間は近くに控えていた
女中の椿からお市の様子を逐一報告を受けていた
「姫様は今日もお可愛らしいですっ!」
「知っている。他は問題ないか?」
「お庭を見てはため息を吐かれていらっしゃいます
その姿はなんとも艶がありまして大人っぽいですっ!」
「ほう・・・それは見てみたいものだが、他は?」
「お言葉には出されませんが館の外に出てみたいようです」
その椿の一言で護衛つきでの外出を許可したのだ
一人で館の外に出たことはない
館にいる者以外との接触はない
あの可愛い妹を疑いたくはないが
お市が館を出てからの足取りを調べるよう
光秀に調査を指示した
光秀に指示して数日後お市と視察に出掛ける日が来た
厩から愛馬を連れて待っていると
お市が家康を伴いやって来た
『信長さま。お待たせ致しました』
「来いお市」
先に馬に飛び乗り手を差し出すと素直をその手をとった