第9章 頑張る
『おかえりなさいませ』
「・・・ただいま」
出迎えた葉月と共に家康は
無言で廊下を歩いていく
『どうされたのですか?』
部屋に入ると移動中に大きなため息を吐いていた家康に
葉月は心配そうに問いかけた
家康は葉月を見てから視線を外し
また小さなため息を吐いた
「明日、葉月を城に連れていくことになった」
『そうなのですか・・・・・仕方ありませんね
明日はご一緒させて頂きます』
「アンタ・・・・・」
視線を向けた家康は
じっと葉月を見詰めた
『なんでしょうか?』
「そのしゃべり方どうにかならない?
三成と話してるみたいでイライラする」
『三成さまですか?』
葉月は小首を傾げた
『ああ、目元に黒子があるお方ですね
あの方のことお嫌いなのですか?』
「嫌い、関り合いたくない奴」
『家康に嫌われたくありませんので努力致します』
「・・・・・」
『え~と、努力・・・します?する??』
んん?と頭を混乱させていると
ぷっと小さな笑い声が聞こえた
視線を向けると肩を震わせて笑いを耐えている家康がいた
「その都度、指摘するから頑張れば?」
『は・・・うん。頑張る』