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兄は戦国武将〈イケメン戦国〉

第7章 下ろしてください


「姫様、お城から出ていかれるのですか?」


『ええ、何時までも兄さまに頼っていては駄目なの
私一人で行きますから、椿はここに残りなさい』


トンッと肩を押し開いていた部屋に
椿を入れ素早く戸を閉めた
"姫様っ!"と声が聞こえたが足早に廊下を進む
廊下の途中でだれかに遭遇する度に進路を変えた


「葉月さん」


頭上から声が聞こえ不思議に思いながら
天井を見上げるとひょっこり佐助が顔を出した


『佐助くん?敵情視察中ですか?』


「うん潜入中。ここも抜け道の一つみたいだ
っと、今はそんなこと言ってる場合じゃないね
逃げるならお手伝いするけど」


"どうする?"と聞かれ"お願い致します"と即答した


天井裏は狭いが思っていたよりも綺麗で快適だった
薄暗い天井裏を通り城の裏側へ脱出に成功した
地上に降り立ち新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込んだ


『空気が美味しいですね』


「追手が来ないとも限らない早く移動しよう」


近くで謙信が酒を飲んでいるらしく店を目指した


「おれは幸村に葉月さんを見つけた事報告してくる」


店の入り口まで送ってくれた佐助はすぐに消え
葉月は店に入ろうとしたが


「姫様ーっ!!」


駆け寄って来た椿にガシッと腕を掴まれてしまった


「酷いです姫様!なんで私を置いて行くんですか!!
私も姫様についてお城を出ていきます!!!」


『椿、静かに・・・・・』


「葉月どういう事だ?」


店の奥で酒を飲んでいた謙信が険しい顔で出てきた
チラリと椿を一瞥し葉月に視線をよこした


『・・・・・謙信さま』


「え・・・姫様?
けんしんって・・・・まさか・・・・・!!」


『ええ、そうです
此方は越後の上杉謙信さまです
今お世話になっています』


「駄目ですっ!姫様この方だけは駄目ですっって!
よりにもよって兄上である信長様の敵じゃないですか!!」


「・・・・・」


『・・・・・』


きゃんきゃん叫ぶ椿とは対照的に
謙信と葉月は無言で見つめ合った
視線を外したのは謙信が先だった


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