第7章 下ろしてください
どうにか椿をお城に帰して二人で隠れ家に帰ってきた
帰り道の間、謙信はずっと無言を貫いていた
「葉月さん何かあった?」
先に帰っていた佐助が不信に思ったのか
こっそりと耳打ちしてきた
『私のトップシークレットが謙信さまに知られてしまいました』
「それは・・・・・」
二人でチラリと謙信を見るとジロリと睨まれた
「なにをピリピリしてるんだ謙信?」
「葉月が一人で歩き回るからじゃねえのか?」
『今日は私のせいではありません
あれは兄さまが勝手に・・・・・』
「兄?」
「・・・葉月さん自分からクラッシュに行ってる」
佐助はふるふると頭を軽くふって額をおさえた
『謙信さま・・・待って下さると言って下さいましたが、
今からお話を聞いて頂けますか?』
「・・・・・」
謙信は飲んでいたお猪口を膳に置き
葉月に視線を向けた
『私は・・・・・織田信長が妹、市と申します』
「何処かの姫だろうとは思ったが
信長の妹とは想像の上をいったな」
"なあ謙信?"と信玄は肩を叩いた
「信長の妹って・・・・
佐助お前知ってたのかよっ!」
「おれも知ったのはさっき
安土城に潜入した時に」
葉月は館を出てきた理由や
勝手に織田家と縁を切ったこと
葉月と名前を変えたことを語った
『黙っていて申し訳ございません』
「構わん。俺が待つと言ったんだ
葉月が謝る必要はない」
『ですが、これ以上ここにいる訳にはまいりません』
"お世話になりました"と三つ指をついて
お辞儀をし隠れ家を出ていった