第7章 下ろしてください
「ふっ貴様とこのように
話すことがあろうとはな」
『ふふふっそうですね』
「は?」
急に笑いだした二人に秀吉は口を開け驚いた
『皆さまをお待たせしておりますし
これくらいにしておきましょうか』
「ああそうだな
だが一つだけ聞く、
何故葉月と名乗っている?」
『私との約束を破られた方がいらっしゃいまして
その意趣返しでしょうか』
「貴様が何時までたっても見付けないからだろう」
まだ葉月を膝に乗せたまま
二人とも笑顔を絶やさず
また言葉の応酬を始めた
『まあっ!外出禁止を解いてくださらない
其方に非が有るのではないのですか?
館から出れなければ出会いなどあるはずございません』
「誘拐される貴様が悪い」
『"五年"ですよ?長過ぎだとは思いませんか?
私はもう小さな童ではございませんし
それに館から出たおかげで
素敵な男性との出会いがございました』
「なに・・・?」
ポッと頬を赤く染め嬉しそうに語る葉月に
信長のこめかみがピクリと痙攣した
「勝手なことは許さん
貴様は俺の物だ」
「失礼いたしますっ!!」
険しい顔でグッと葉月の腕を掴んだの時に
女中が広間に駆け込んで来た
「なんかあったか?」
「申し訳ありません政宗様!」
女中は声をかけてきた政宗に慌てて頭を下げた後
ハッと顔を葉月に向けた
「姫様っ!!」
「は?姫?」
信長がいるのも構わず近付き
キュッと葉月の手を握った
『椿?何故貴女がここにいるの?』
「姫様が行方知れずになり
責任をとって女中を辞しようと思いましたが
信長様に安土城に来るようにと言われて・・・
ここでお仕えしていればいつの日かまた
姫様にお会いできるかとお仕えしてまいりました」
はらはらと涙を流す椿に
困って葉月は眉を下げ
椿に簡単に今回の件について話をした