第7章 下ろしてください
「信長様、おかえりなさいませ」
安土城の入口に一人の男性がたって
信長と葉月を出迎えた
「揃っているか、三成?」
「はい。皆様お待ちです」
「行くぞ」
葉月が抱き上げられていることに
三成は触れることなく信長に従って歩きだした
『下ろしてくださいませんか?』
「お怪我をしているのではないのですか?」
『その様なことはありません』
抱き上げられているのは
怪我のせいだと思っていた様で
"怪我が無くてなりよりです"と
にっこり笑顔を向けられた
そのまま下ろされることなく
多くの武将が集まっていた広間に
連れていかれてしまった
「信長様っ!!」
「へ~本当に生きてたのか」
「あれが噂の女らしいぞ」
「興味ありません」
真ん中を突っ切り葉月を膝に乗せたまま
上座に信長は座った
『いい加減下ろしてくださいませんか?』
「挨拶をしろ」
『私の声、聞こえてますか~?』
「お前っ、信長様にっ!!」
クイクイッと耳を引っ張ると
目を釣り上げ秀吉が腰を上げた
「構わん」
『聞こえているではありませんか
ならば早く私を下ろしてくださいませ』
「それには条件がある
お前がどう言う経緯であの場所にいて
城下で商いの真似事などしていたか、を
答えたら考えてやる」
『その条件ではお話はできません。
この場合は"考えてやる"ではなく
"下ろしてやる"ではないでしょうか?
そう言って下されば
お話しするか考えてさせて頂いても宜しいですよ?』
ニヤリと笑みを向ける信長に対して
葉月もにっこり笑顔で対抗した