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兄は戦国武将〈イケメン戦国〉

第1章 姫君は退屈


「姫様、もうすぐ到着でございます」


『ありがとう』


兄さまに宣言してから五年
供をつけて舘の近くにある草原や山へと
出掛けることが出きるようになった
出掛けると言っても人混みは危険と言われ
大きな城下町には連れていってはもらえない
こんなことでは嫁ぎ先など見つけることは不可能だ


今日も綺麗に咲いている花をみに
人気の無い場所に来ている
回りにいるのは舘から一緒に来た
女中一人と駕籠担ぎ役兼護衛四人の計五人だ


駕籠が止まり女中の手をかり外に出た
回りには桜が綺麗に咲き乱れていた


『綺麗ね』


「そうですね姫様」


女中が布を広げ座る場所を作っている間に
桜の木々の間を一人で歩いていく
暫く歩くと一際大きな桜の木があった


『大きい・・・樹齢何年だろう?』


女中たちから死角に咲いていた
桜の木を見上げていると


「姫様、あぶのうございます
お一人でお歩きになりませぬよう」


護衛の一人が背後から声をかけてきた


『ごめんなさい
桜がとても綺麗だったから』


そう言うと
"もっと大きな桜を見に行かれませんか?"と
護衛について進むにつれ木々に太陽が遮られ
辺りが薄暗くなってきた


『あの・・・・・』


「この辺りでいいか」


クルリと振り返った護衛の手には
抜き身の刀が握られていた


『っ!!?』


「姫君には申し訳ありませんが
俺の為に貴女には人質になってもらいます」


『人質・・・・・』


"失礼します"と言い
縄で手首を後ろ手に縛られ肩に担がれた
そのまま護衛の男は小走りに
木々の間を駆け抜けていく
後ろで女中が私を呼ぶ声が遠退いて行った


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