第6章 いかがですか?
『いらっしゃいませ~』
今日は幸村と一緒に露店を開くことになり
にこにこ笑顔を浮かべ接客をしている
「これ買うからあとで俺とお茶しない?」
『幸村さま、この場合はどうしたら宜しいのでしょうか?』
口説かれていることに気づかず
キョトンと小首を傾げて横にいる幸村に声を掛けた
「そんな奴、無視だ無視っ!」
しっしっと幸村は男を追い払った
『いらっしゃいませ~。可愛い小物はいかがですか?』
「小物よりも葉月の方が可愛いぞ
この後俺と逢引きしないかい?」
『信玄さま、何をしてらっしゃるのですか?』
ジト目で見るが信玄はにこにこ微笑みを浮かべるばかりだ
「珍しく幸の露店に男が群がってるから気になってな」
「丁度よかった
此奴がいたら商売になんねえどこか連れてけっ」
『でも幸村さま。お客さまはたくさんいらっしゃいますよ?』
「その大半の野郎はお前を口説いてるだけだろうが!
これじゃ俺の仕事になんねえんだよっ!!」
さっさと行けと葉月を信玄に押し付けた
「せっかくだから甘味やでお茶でもしよう」
『甘味やでしたら喜んでお付き合いいたします』
"頑張ってくださいませ"と幸村に声をかけてから
信玄と甘味やに向かって歩き出した