第6章 いかがですか?
宿をたち途中にあった湖で馬に水を与え
一日かけて安土を目指した
今回の旅では賊や野犬などに遭遇せずすんだ
『まあ、とても賑やかですね』
安土に着いて最初の感想がこれだった
「信長の奴が手広くやっているからな」
春日山城の城下町も華やかだったが
ここ安土の城下町はそれ以上に栄えていた
「此方だ」
馬を預け謙信について進むと
裏路地にある一軒の家に案内され入った
「お疲れ様です。
葉月さん大丈夫だった?
奥の部屋を葉月さん用にしたから
今日はゆっくりと休んで」
『はい。お気遣いありがとうございます』
ペコリとお辞儀をして少ない荷物を持ち部屋に下がって行った
「本能寺に火を放った者はまだ捕まっていないようです」
葉月が奥の部屋に入って行ったのを確認してから
佐助は謙信に安土城潜入調査の途中経過の話を始めた
「寺の僧侶の中に賊が紛れ込んでいた様で
捕虜として捕まえた賊は自害し真相は分かっていません」
「賊の侵入を許すなど愚かな奴だ
ご苦労だった佐助」
小馬鹿にしたように吐き捨て佐助に労いの事がをかけた
「いえ、実はもう一つお話が・・・・・」
「もう一つ?
なんだ佐助面白い話か?」
「葉月さんをまだ捜しているようです」
「なに?」
持ち上げかけていた手がピタリと止まり
目の前にいる佐助をギロリと睨んだ
「あの状況を報告しているのだろう?
それでもあの男は葉月が生きていると言っているのか?」
「はい。
"死体を見たわけではないのなら、まだ生きているはずだ"
と言っていました」
「葉月を一人で歩かせるな」
チッと舌打ちをしグイッと謙信は一気に酒を煽った