第4章 冒険
次の日から佐助と二人で近くの森に出掛け
周りの地形を調べるお手伝いを始めた
崖の位置や行き止まりの洞窟、水場の場所など
数日にわたり森を歩きまわった
「葉月さん大丈夫?」
森を歩き回り疲れて岩に腰掛ける葉月を心配し
水を汲んできた竹筒を差し出しながら問いかけてきた
『昔よりも体力が付いたつもりでしたが
ご迷惑をおかけして申し訳ありません』
「調査は一時中断して冒険しよう」
『冒険・・・ですか?』
妙案だとポンと手を打って手を差し伸べた
佐助の手を取り促されるまま歩いて行くと
『ここは初日に来た崖ですね』
「見た目はね」
特に変わりない崖を覗き込み小首を傾げると
眼鏡を押し上げ話始めた
「さっき見つけたんだけど・・・」
『えっ?佐助くんっ!』
いきなり崖に飛び込んだ佐助
駆け寄り覗き込むと真下佐助が平然と立っていた
「よく見ないと気づかなかったけど
ここに隠し洞窟があるんだ」
一見すればただの崖だったが
佐助君によれば視覚トリックらしい
思い込むことでその様にしか見えなくなるらしい
「葉月さんも降りてみて」
『は、はい』
勇気を出し佐助の腕に飛び込むと
思ったほどの高さもなく難なく降りることが出来た
「ここを進むとさっき休憩していた岩のところに出るんだ」
『不測の事態に陥った時は使わせていただきます』
"目印をつけておくね"と飛び降りた場所にクナイで印をつけた
「なにもないことが良いけど
もしもの為には準備が大切だね」
『そうですね』
その数日後にこの印が役に立ち
葉月は窮地を脱したのだった