第4章 冒険
「葉月、出掛けるぞ」
『はい。謙信さま』
春日山城にお世話になって数ヵ月
最近は謙信さまたちと一緒に行動することが多くなった
今回信玄さまと幸村は別行動で
謙信さまと佐助くんの三人で出かけることとなった
『今日はどちらまで行くのでしょうか?』
「京まで行く」
馬に跨った謙信に手を取られ馬上に持ち上げられた
越後 を出て 信濃 、飛騨、 近江 と山中を通り
約半月かけて京まで馬で進んで行くらしい
「今回は葉月さんが一緒だからゆっくり進むんだよ」
『あの・・・
お邪魔でしたら私はお城でお待ちしておりますよ?』
城下町を抜け速度を上げ走りだした馬の上で謙信を見上げた
「邪魔などではない」
「そうだよ。一人お城に居させるのは心配だし
何より一緒に居たいんだよ」
「・・・佐助」
並走している佐助を謙信はジロリと睨みつけた
「もうそろそろ山に入るから
葉月さんは落ちない様に謙信様にしっかり捕まって」
『はい。失礼いたします謙信さま』
「・・・・・ああ」
横向きに座る葉月は謙信の腰に手を回し胸元に頬を寄せた
信濃までは問題なく快適な山越えだったが
信濃から飛騨への山越えの途中では
野犬が出たり近江の山越えでは夜盗の襲撃にあった
その度に謙信さまは嬉々として刀を振るっていた
そしてやっと京へとたどり着いた
「葉月さんお疲れ様」
『いいえ。私は乗せてもらっていただけなので
謙信さまも佐助君もお疲れ様でした。
あの、申し訳ないのですが・・・・・湯あみは出来るでしょうか?』
長旅の間は野宿が主で湯あみどころではなかったため
流石に汗や埃を落としたいと言い出してみたところ
謙信が宿の女将に別料金を払い湯殿を貸し切ってくれた