第3章 お酒はお好き?
甘味を食べてお茶を飲み干しても
幸村の信玄への説教は終わる気配がなく
二人をそのまま残し甘味屋を後にした
まだ見つくしてない表通りをゆっくり歩いて見て回り
一軒の酒屋の暖簾をくぐった
「いらっしゃい!!」
威勢のいい挨拶で店は繁盛している
「娘さん何をお探しで?」
『何を、と言う訳ではございませんが
そうですね・・・・おすすめはどれでしょうか?』
「えらい丁寧なしゃべり方だな。
良いとこの娘さんか?」
『いえ、私は・・・・・』
腰に手をあてじろじろと顔を覗き込んでくる店主から
一歩後ろに下がると後ろから肩を掴まれた
「此奴は俺の城に居るの者だ」
「謙信様っ!!」
いきなり現れた城主に店の店主が驚きの声を上げた
「葉月ここで何をしている」
『どんなお酒があるのかと思いまして』
「酒に興味があるのか?」
『はい。謙信さまもお酒はお好きですか?』
小首を傾げ問いかけると"愚問だ"と言う返事が返って来た
「店主」
「は、はいっ!!」
「いつのも酒と女でも飲める物を
城に持って来い」
「か、かしこまりましたっっ!!」
「行くぞ」
『はい。謙信さま』
颯爽と出ていく謙信に促され葉月も一緒に酒屋を出ていった
「おい今の聞いたかっ!一緒に住んでるって!!」
「ああ。あの女嫌いの謙信様がっ!
しかもっ!!女の酒を注文したぞっ!!!」
「あの女性は寵姫だっ!寵姫に違いないっ!!」
"祝いだっ!!"と酒屋では騒ぎが起きていた
夕方には酒屋以外からの店からも品物が届いた
届けた商人からは皆口を揃えて
"おめでとうこざいます"
と言う祝福の言葉と満面の笑顔付きで