第3章 お酒はお好き?
『ふふふっ美味しい~』
「これも飲んでみろ」
『ふふふっこっちも美味しい』
楽しそうにコロコロ笑いながら
謙信と酒を飲む葉月
「・・・・・なあ佐助」
「幸村どうかした?」
「何でこの状況でお前は普通に過ごせんだよ!」
今朝までは上座と下座と離れた位置に座っていた二人
幸村が夕餉の為に広間に入って来た時には
謙信が葉月を隣に置き
親しげな雰囲気を醸し出しながら酒を飲んでいた
『謙信さま~一献どうぞ?』
「ああ・・・・」
「良いな~謙信
葉月、俺にも酌してくれないかい?」
『お断りで~す
信玄さまみたいな軽い男は嫌~い』
「ぶっ!」
くくくっと肩を震わせ笑いを耐える幸村と
葉月に向けて親指を立てる佐助
『謙信さま~これなに?』
落ち込む信玄を気にする素振りもせず
葉月は謙信の袖をクイクイッと引っ張り
御膳の上にある食べ物を指さした
謙信が指で摘まみ葉月の口に押し込んだ
『酸っぱーーいっ!!』
「ふっ梅干しだ」
"仕返し"と言って葉月も同じように
謙信の口に梅干しを押し込んだ
平然の咀嚼する謙信を見て葉月は頬を膨らませた
「残念だったな葉月」
『ふふふっ』
ふっと楽しそうに笑う謙信につられ
葉月も一緒に笑いだした
「葉月さんは笑い上戸みたいだね」
「今そんなこと言ってる場合じゃねえだろ」
「おれは二人が仲良くなって喜んでるだけ」
「そりゃあ、仲が悪いよりも良いかもしんねえけど・・・」
幸村と佐助が肩を寄せ合い
ヒソヒソと話をしている横では
「・・・いいな・・・仲が良くて」
信玄は一人寂しく手酌酒を飲んでいた