第2章 衣食住揃えば生きていけると思うんだ。
あれから、よく分からん長髪金髪美人に運良く拾われた私は、記憶が無いと偽ることで彼が住んでいる寺に一時的に住まわせていただくことに成功した。
しかし、あの金髪美人は結構お偉いさんらしく、色んな人達から頭を下げられていた。
「それにしても、名前だけは聞いたことがある三蔵法師が金髪美人で、煙草吸って、麻雀やってるなんて思いもしないじゃん。」
「それを言うなら記憶ないって言ってる割に三蔵法師やら、麻雀のやり方だけは覚えるお前も十分に怪しい。」
三蔵法師によくくっついている小僧の持っている箒で頭を叩かれる。
痛い
仮にも女性相手だというのに容赦のない力だった。
「よし、江流。か弱い女性をいじめた罪として私の箒であっちの方まで掃除してきなさい。」
「よし、ぶん殴る」
彼の名前は江流。他の小僧たちからは川流れの江流と呼ばれているようだ。
かの、三蔵法師がたまたま拾ってきた子供らしい。
ちなみに年下への親しみを込めて江流くんと読んだら殴られてしまったので、しっかりとした精神をお持ちのようである。
でね、江流 、その手に持った箒を私に向けるのやめようよ。
現在、私は江流とお寺の雑用を主にやらされている。
簡単な作務衣に着替えさせられ、朝から廊下拭き、朝食の食器の片付け、庭の掃除などなど、人が多いにもかかわらず無駄に雑用をさせられる毎日である。
ちなみにお偉そうな坊さんに抗議したら、「これも修行なのです。」とか、よく分からない説教を聞かされ楽をすることを諦めたのだ。
まぁ、肉は食べれないが、衣食住は揃っておりちゃんとした布団で寝れるだけで万々歳である。
しかし、基本的に女人禁制なので、いつか都市部の訳ありの人物でも置いてくれる寺に移動させられるらしい。
それまでの短い期間であるが、恩返しとまでは言わないが枝豆と餅使ってずんだ餅作ったら江流と三蔵法師にめちゃくちゃ渋い顔をされた。
解せぬ