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【ハリポタ】静かなる鎮魂歌【リドル】

第5章 別れ


 穏やかな春が過ぎ、やがて初夏が訪れ6月が終わると、コルウスはホグワーツを卒業していった。その間、コルウスとリドルは再び話す事はおろか、目を合わせる事も無かった。

 思い返せば中庭でコルウスの姿を見てから、グレイン家の兄妹達とはたった2週間の付き合いだった。その中でリドルが得たものは1つの疑問だった。
 それは、愛とはいったい何なのだろう。その事だけが胸を占めた。

 そんなある日の事、新聞に妙な記事を見付けた。とある娼館で原因不明の大量殺人が行われたという事件だった。
 その中に、アーノルド・グレインと言う男の名前が載っていた。

 あぁ――彼は彼の道を踏み出したんだ。そう思うと、リドルの心にも得体の知れない野望が目覚め始めた。
 ならば自分も進もう、己が進むべき覇道を――そして5年生の夏休み、リドルは自分の父親の住んでいる屋敷を訪れ、そこに住む一家全員を皆殺しにした。

* * *

 それから数十年後、コルウス・グレインは詐欺、強盗、恐喝、殺人と、ありとあらゆる手を使ってのし上がり、経済界を牛耳るまでとなった。
 そうして膨大な財産を築き、1代で再びグレインの名を世界に轟かせた――。
 そして彼の父親が借金の形に売り払った屋敷や、先祖代々伝わるグレイン家の紋章が入った調度品を取り戻した。

 だが晩年、コルウスは自分だけではグレイン家が所有していた財産全てを手に入れる事が出来ないと悟ると、適当な純血の娘と結婚し、一子を儲けた。
 子供の名はクラウスと言い、コルウスはまるで呪いの様に、我が子にグレイン家の財産を全て取り戻すよう言い聞かすと、60歳を迎える前に病気で亡くなった。

 愛を知らない孤児、コルウス・グレイン。その生涯を復讐に費やした彼の悲しき人生は、正に血に汚れた覇道そのものだったと言う……。

 ~La Fin~
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