第6章 特別編
日が傾いてきたころ、死に装束みたいな真っ白な着物を着た一団がらくだに乗り、固まりになって砂漠を走ってきた。
ちょっと怖い。
湖からその様子を見ていた私と万斉さんはジープの停めてある広場まで走った。
すでにそこではまた子さんと武市さんが臨戦態勢で立っていた。
「万斉、相手は何人だ?」
ただ一人優雅にジープに寄りかかっていた高杉さんはキセルの灰を落としながら、走ってきた万斉さんに聞いた。
「50人はいないでござろう。いずれもラクダに乗っている。武器は判別できなかったでござる」
「…お手並み拝見ってところか。
…一人頭10人だ。大した数ではねえだろ」
高杉さんにそう言われるとそんな気がしてしまうのが不思議だ。
昔だったらビビッてたところだけど、仲間がいると思うとなんだか心強い。
私も傘を構える。
無駄のない動き。
最良の判断。
それさえ出来ればいいのだ。
砂上を打ち付けるような足音を聞きながら、私は静かに目を閉じた。
「…そのまま口付けしたら、拙者殺されるでござろうか?」
と、すぐ近くに立っている万斉さんが妙なボケをしてきたので、集中できなかったwww
近づくこと、10メートル手前で白い集団は足を止めた。
そして、リーダーらしき男が一人、ラクダにのったままこちらにやってきた。
「そちらは…高杉晋助殿とお見受けいたします。
我が名は盗賊団『陽新』のアビス!」
アビスは目元まですっぽりかぶっていたマントの、口元だけを取り払って言った。
よく通る声だ。
高杉さんはその声に答えるように前に歩み出る。
「先日の鉄道ハイジャック、見事でございました。
おかげさまで我らも恩恵を賜ることが出来、感謝のしるしとして、お望みの『紅鉄』の採れる鉱山の場所を教えたいと思い、参上仕りました」
「…それは、ごくろう」
高杉さんは、表情を変えずに返事をした。
特別編つづく