第3章 夜原掃討戦
惑星FG。
点のように画面に映し出されたその姿が、今はガラス一面に現れた。
そこらじゅうに私たちの乗った船と同じ船が浮かんでいる。
うん、ちゃんとまぎれられてる。
そう思いながらガラスの画面を見つめていると、惑星FG近くにいた船がクレーターのような穴の中へ消えた。
「あのそこらじゅうの穴は船着き場への入り口なのかも」
と、私が指さすも神威も阿伏兎も見えないらしい。
「お前、どういう目ェしてんの」
阿伏兎に驚かれる。
向こうの世界ではそんなに目はよくなかったんだけど。
この世界では異様に体が軽かったり目が見えたり耳がよく聞こえたりする。
夜兎よりもいいところがあるみたいで、この世界のどこかにいる人間以上の存在らしい。
神威が何かを言おうとした途端、ガクッと宇宙船が一段落ちた。
その衝撃で私は膝を着いた。が、神威らは微動だにしない。
「…耐久性に問題ありかな」
その姿を見た神威はこめかみの下に中指を置いて考えるようなしぐさをした。
「問題ありありだ。
お嬢、すぐに中央ホールに移動したほうがいい。ワープに入るときの重力にやられる」
と言った阿伏兎の言葉と同時にブゥゥと低音の耳鳴りを感じたかと思うと体が浮き上がり思いっきり入り口近くまで吹っ飛ばされた。
壁ギリギリのところで阿伏兎と神威に左右から支えられた。
「遅かったか」
体中の骨がきしむ。
痛み以外の感覚がない。
「俺が中央ホールに連れて行くよ。
あそこシェルター状になってるんだよね。ちょっと休もうかな」
「ど〜ぞど〜ぞ。わたくしは一人さびしく見張りなどしているので」
阿伏兎が恭しく礼をする中、神威は私を抱えて操縦室から出た。